1 労働施策総合推進法は、労働者の募集・採用の際に、原則として、年齢制限を禁止しているが、例外事由の一つとして、就職氷河期世代( A )の不安定就労者・無業者に限定した募集・採用を可能にしている。
2 生涯現役社会の実現に向けた環境を整備するため、65 歳以降の定年延長や 66 歳以降の継続雇用延長、高年齢者の雇用管理制度の整備や定年年齢未満である高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して、(B)を支給している。また、 (C) において高年齢退職予定者の情報を登録して、その能力の活用を希望する事業者に対してこれを紹介する高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業を実施している。
一方、働きたい高年齢求職者の再就職支援のため、全国の主要なハローワークに「生涯現役支援窓口」を設置し、特に 65 歳以上の高年齢求職者に対して職業生活の再設計に係る支援や支援チームによる就労支援を重点的に行っている。ハローワーク等の紹介により 60 歳以上の高年齢者等を雇い入れた事業主に対しては、(D)を支給し、高年齢者の就職を促進している。
既存の企業による雇用の拡大だけでなく、起業によって中高年齢者等の雇用を創出していくことも重要である。そのため、中高年齢者等(E)が起業を行う際に、従業員の募集・採用や教育訓練経費の一部を「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」により助成している。
選択肢
A:①25 歳以上 50 歳未満 ②30 歳以上 60 歳未満 ③35 歳以上 50 歳未満 ④35 歳以上 55 歳未満
B:①65 歳超雇用推進助成金 ②キャリアアップ助成金 ③高年齢労働者処遇改善促進助成金 ④産業雇用安定助成金
C:①(公財)産業雇用安定センター ②職業能力開発促進センター ③中央職業能力開発協会 ④ハローワーク
D:①高年齢者雇用継続助成金 ②人材開発支援助成金 ③人材確保等支援助成金 ④特定求職者雇用開発助成金
E:①40歳以上 ②45歳以上 ③50歳以上 ④55歳以上
回答
A: ④35 歳以上 55 歳未満
労働施策総合推進法の細かい内容を聞いてきているというよりは、「就職氷河期世代を知っていますか?」という問題だと感じました。
2022年現在の就職氷河期世代を選ぶと答えに近づける作問となっていました。
35歳未満が範囲に含まれる①と②は消去したい問題ですね。
人事を生業としていると、就職氷河期世代をターゲットとした採用イベントや相談会を見ることがよくあります。逆に、そうでない方からすると、すぐには選びづらい問題だったかもしれません。
さらに、③の50歳と④の55歳はかなり選択肢を絞りづらく、「失われた20年」を加えた55歳とするのがせいぜい自然な絞り方かもしれません。
ちなみに、就職氷河期世代以外にも、「長期的なキャリア形成を図る」観点から若年層に絞った求人票を作ることができる仕組みなどもあります。
興味のある方は調べてみて下さいね!
B: 65 歳超雇用推進助成金
人事の実務担当者であれば、なじみのある助成金が並んでいる問題ですね。
キャリアアップ助成金は確かに無期雇用の転換を助成してくれますが、定年延長とは無関係ですし、産業雇用安定助成金はコロナ絡みの助成金ですよね。
高年齢労働者処遇改善促進助成金と迷ってしまうかもしれませんが、有名なキャリアアップ助成金とコロナ関連の助成金である産業雇用安定助成金を削ることができれば、せめて2択までは絞れる問題だったと思います。
完全に余談ですが、高年齢者雇用安定法の改正によって、65歳以上の労働者を有期契約で再雇用する会社が増えてきました。この時、人事的にネックになるのが労働契約法の「5年ルール」だったりします。つまり、70歳まで再雇用し続けると、70歳になったとき無期転換を申し込まれると正社員にする必要が生じてしまったりします。。。
労働局に申請することで、例外許可を頂けるようですが。。。
この辺りの事情は、実務担当として経験しておくと自然と知識がつくのはメリットですね。
C: (公財)産業雇用安定センター
まず、ハローワークと 職業能力開発促進センターは削りました。
ハローワークでは採用担当者としてそのようなサービスを受けたことがありませんでしたし、 職業能力開発促進センター と聞くと「ポリテクセンター」!と連想するほど、高齢者雇用と無関係の組織をイメージしたからです。
中央職業能力開発協会はどうやら技能試験を実施したりする組織のようですが、(公財)産業雇用安定センターの方が題意にしっくりくるので、こちらを選びました。
D: 特定求職者雇用開発助成金
正直、実務担当者でない方がこの問題を解くことができるのだろうか?と思いました。
まずは、①の高年齢者雇用継続助成金は雇用保険法の「高年齢者雇用継続助給付」からのひっかけだろうなと思い削れるかと思います。
でも、それ以上はかなり厳しいですよね。
ただ、60歳以上の方に、「人材開発支援」はしっくりきませんし、どちらかというと労働者の就職を後押しするための助成金なので、「人材確保等支援」はしっくりきません。
このように、 特定求職者雇用開発助成金を消去法で選べればベストだったのでしょうか。
偶然私は「特定求職者雇用開発助成金」の特定就職困難者コースの申請書類を作成していましたので、難なく選ぶことができました。
特定求職者雇用開発助成金は60歳以上の方以外にも、障害者を雇用する際にも活用できる便利な助成金でして、障害者雇用促進法が改正されて、法定障害者率を上げる必要がある企業からひそかに注目されています。
もしかして、障害者雇用と 特定求職者雇用開発助成金をセットで提案しろというメッセージ??
E: 40歳以上
私はここで間違えました。
中高年齢者が40歳以上であるイメージはなかなか沸きませんし、問題全体を通して60歳近くの年齢でストーリーが固められていたので、ここで40歳で作問してくるのは、かなり意地悪だと思いました。。。
起業支援に関する仕組みなので、人事担当者としても完全にノーマークでした。。。
【全体を通して】
まずは、客観的に、かつ例年の試験問題と並べたときの直観で、、、
基準点の引き下げはあると思います!
個人的には「2点」に引き下がるだろうとは思いますが、確率はかなり低いですが、もしかすると「1点」まで下がるかもしれません。
私は人事の実務担当者なので、なじみのあるワードが多く、全体を通じて選びやすい問題でした。
ですので受験者数に占める、人事や社労士事務所での実務担当者がどの程度含まれるかが平均点のカギを握っている気がします。
昨年の統計資料オンパレード問題から、「労働一般常識は」、「(労務管理の実務担当者の)労働一般常識」に変化しているなぁと感じます。
社労士資格の意味からいうと、あながち間違いではないとは思うものの、やや公平感に欠けるぁとも感じたります。
だれしも社労士事務所や人事課に転職できるわけではないと思いますが、人事課に異動願を出したり、社労士や人事の友人を作ったりして、実務に触れる機会を作るのも良いのかもしれません。
