1 賠償予定の禁止を定める労働基準法第 16 条における「違約金」とは、労働契約に基づく労働義務を労働者が履行しない場合に労働者本人若しくは親権者又は(A)の義務として課せられるものをいう。
2 最高裁判所は、歩合給の計算に当たり売上高等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨の定めがある賃金規則に基づいてされた残業手当等の支払により労働基準法第 37 条の定める割増賃金が支払われたといえるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
「使用者が労働者に対して労働基準法 37 条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するためには、割増賃金として支払われた金額が、(B)に相当する部分の金額を基礎として、労働基準法37 条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討することになるところ、その前提として、労働契約における賃金の定めにつき、(B)に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要である[…(略)…]。そして、使用者が、労働契約に基づく特定の手当を支払うことにより労働基準法 37条の定める割増賃金を支払ったと主張している場合において、上記の判別をすることができるというためには、当該手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされていることを要するところ、当該手当がそのような趣旨で支払われるものとされているか否かは、当該労働契約に係る契約書等の記載内容のほか諸般の事情を考慮して判断すべきであり[…(略)…]、その判断に際しては、当該手当の名称や算定方法だけでなく、[…(略)…]同条の趣旨を踏まえ、(C)等にも留意して検討しなければならないというべきである。」
3 使用者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たって特に配慮を必要とする者については、これらの者の(D)に応じて適正な配置を行うように努めなければならない。
4 事業者は、高さが(E)以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行う場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
選択肢
① 1 メートル ② 1.5 メートル
③ 2 メートル ④ 3 メートル
⑤ 2 親等内の親族 ⑥ 6 親等内の血族
⑦ 家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金
⑧ 希望する仕事 ⑨ 就業経験
⑩ 心身の条件 ⑪ 通常の労働時間の賃金
⑫ 当該手当に関する労働者への情報提供又は説明の内容
⑬ 当該歩合給
⑭ 当該労働契約の定める賃金体系全体における当該手当の位置付け
⑮ 同種の手当に関する我が国社会における一般的状況
⑯ 配偶者
⑰ 平均賃金にその期間の総労働時間を乗じた金額
⑱ 身元保証人 ⑲ 労働時間
⑳ 労働者に対する不利益の程度
回答
A: ⑱身元保証人
基礎的な問題で選びやすかったと思います。
また、その他の選択肢の候補が、 ⑤2親等内の親族、 ⑥6親等内の血族 、 ⑯配偶者の3つかと思いますが、どれも身元保証人より的確なものは見つけられませんね。
B: ⑪通常の労働時間の賃金
問1に続き、選びやすい問題だったかと思います。得点したい問題です。
判例問題は注意深く文章を読むことで、答えを絞りやすくなります。
今回の問題では「 労働契約における賃金の定めにつき、(B)に当たる部分と、、、、」という記述があります。
つまり、労働契約書に記載される「労働契約締結時」に決まられる基本給に相当する賃金が選択肢の候補となってくるかと思います。
選択肢を見ると、 ⑪通常の労働時間の賃金、 ⑬当該歩合給、 ⑰平均賃金にその期間の総労働時間を乗じた金額、が候補にあがっています。
この中で、いま説明した内容に当てはまり、また、割増賃金を計算する上で矛盾のない賃金額を選ぶと、自ずと⑪に絞られます。
C: ⑭当該労働契約の定める賃金体系全体における当該手当の位置付け
文意から、手当に関する記述が入ることが推測されます。
そうすると選択肢の候補としては、 ⑦家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金、 ⑫当該手当に関する労働者への情報提供又は説明の内容、⑭当該労働契約の定める賃金体系全体における当該手当の位置付け、 ⑮同種の手当に関する我が国社会における一般的状況、の4つになるかと思います。
文意から、当該企業における手当の位置づけを考慮したい意思が感じられますので、⑭を選ぶことができます。
⑦の厚生労働省で定める・・・、や⑭我が国社会における一般状況はしっくりきませんし、⑫はさらに外れていますね。
D: ⑩心身の条件
ここまで問題を解いてくると選択肢は次の4つまで絞られているはずです。
⑧希望する仕事、⑨就業経験、 ⑩心身の条件、⑲労働時間
⑧はまずは削れますし、⑨の就業経験に基づくことは必ずしも適切な労働衛生を担保しませんね。
⑲の労働時間が短い場合は不適切な業務をさせてもいいわけではありませんし、自然と⑩の心身の条件が選ばれるはずですね。
E: ③2 メートル
今回、この科目の一番の難問ですね。
令和2年に似たような問題が出題されたので、デジャブを感じます。
以前は、深い場所での作業の話でしたが、今回は高い場所での作業の話ですね。
かなり難易度は高い問題で、正解できなくても仕方がない問題かと思います。
ただ、直観的に選びやすい数字が2メートルかと思いますので、意外と正解者は多い気がします。