1 最高裁判所は、使用者がその責めに帰すべき事由による解雇期間中の賃金を労働者に支払う場合における、労働者が解雇期間中、他の職に就いて得た利益額の控除が問題となった事件において、次のように判示した。
「使用者の責めに帰すべき事由によって解雇された労働者が解雇期間中に他の職に就いて利益を得たときは、使用者は、右労働者に解雇期間中の賃金を支払うに当たり右利益(以下「中間利益」という。)の額を賃金額から控除することができるが、右賃金額のうち労働基準法 12 条 1 項所定の(A)の 6 割に達するまでの部分については利益控除の対象とすることが禁止されているものと解するのが相当である」「使用者が労働者に対して有する解雇期間中の賃金支払債務のうち(A)額の 6 割を超える部分から当該賃金の(B)内に得た中間利益の額を控除することは許されるものと解すべきであり、右利益の額が(A)額の 4 割を超える場合には、更に(A)算定の基礎に算入されない賃金(労働基準法 12 条 4 項所定の賃金)の全額を対象として利益額を控除することが許されるものと解せられる」
2 労働基準法第 27 条は、出来高払制の保障給として、「使用者は、(C)に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。」と定めている。
3 労働安全衛生法は、その目的を第 1 条で「労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、(D)の形成を促進することを目的とする。」と定めている。
4 衛生管理者は、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから選任しなければならないが、厚生労働省令で定める資格を有する者には、医師、歯科医師のほか (E)などが定められている。
選択肢
①安全衛生に対する事業者意識 ②安全衛生に対する労働者意識 ③衛生管理士 ④快適な職場環境 ⑤看護師 ⑥業務に対する熟練度 ⑦勤続期間 ⑧勤務時間数に応じた賃金 ⑨作業環境測定士 ⑩支給対象期間から 2 年を超えない期間 ⑪支給対象期間から 5 年を超えない期間 ⑫支給対象期間と時期的に対応する期間 ⑬諸手当を含む総賃金 ⑭全支給対象期間 ⑮そのための努力を持続させる職場環境 ⑯特定最低賃金 ⑰平均賃金 ⑱労働衛生コンサルタント ⑲労働時間 ⑳労働日数
正答
A:⑰平均賃金 B:⑫支給対象期間と時期的に対応する期間 C:⑲労働時間 D:④快適な職場環境 E:⑱労働衛生コンサルタント
A:平均賃金
あけぼのタクシー事件からの出題ですね。
会社都合で労働者を休業させる場合、平均賃金の6割を休業手当として支払うルールがあります。
解雇期間中に会社から(不当に)労務の提供を拒絶させられていたのであれば、同様の考え方が適用できそうだと推測できます。
その他の選択肢をみても、「特定最低賃金」や「諸手当を含む総賃金」など、文脈からも排除が易しめな選択肢が候補となっており、比較的正答しやすかった問題だと思います。
B:支給対象期間と時期的に対応する期間
こちらも文脈と、判例の論理から選びやすかった問題だと思います。
あくまでも解雇期間中の支給対象期間の債務や労働者の収入保障の話です。
支給対象期間の外の期間については考慮されるべきではないですね。
選択肢の「支給対象期間から2年」や「5年」といった内容は、
賃金支払いの時効からきた数字を出して引っかけてきてるのかもしれません。
気を付けましょう!
C:労働時間
難易度の低い必達問題です。
労働日数や勤続年数に応じた設定では公平な保障給は支払えませんからね。
ちなみに、この保障給は平均賃金の6割程度が望ましいとされています。
D:快適な職場環境
条文からの穴埋めです。
多くの受験生が押さえられている条文だと思いますので、得点する事が求められます。
この条文は法1条の目的条文である超重要条文なので、暗唱できるくらい読み込んでおきましょう!
E:労働衛生コンサルタント
労働安全コンサルタントは安全管理者、労働衛生コンサルタントは衛生管理者と覚えておきましょう。
社労士試験でのこれらの資格の出番は上記と、安全衛生計画の作成や変更の際の「診断」
この2つを押さえておくと良いと思います。
「診断」は選択式の出題候補と予感しています。